インタビュー

Q.トム・リドルがヴォルデモート卿になったことに彼個人の資
質だけでなく、社会にも彼を生み出した責任の一端があると
あなたは考えているのですか?


HP.もちろん最終的な責任は彼にあります。同じような境遇に
生まれた人は他にもいるわけですし、その人たちはヴォルデ
モートになってはいないのですから。
しかし、彼が彼の人生において愛情を誰からも受けず、誰に
も与える事ができなかったのは事実です。それは単に不幸と
いうよりも、僕には宇宙の真ん中でぽつんと何万年も存在し
続けているような孤独に思えるのです。不運な巡り合わせが
重なったのかもしれませんが、トム・リドルを少しでも大切に
気遣う人が一人でもいたとすれば、その後の歴史はもう少し
違うものになっていたのではないかと思えてならないのです。


Q.ヴォルデモートは本当に誰からも愛されなかったのでし
ょうか。


HP.ええ、確信があります。ヴォルデモートに憧れる人は
大勢いたと思いますよ。今でもひそかに彼の主義思想に
共鳴している人はいるでしょうね。それに若い頃の彼はとて
もハンサムでしたし、実際に魅力的に振る舞うこともできた
はずです。
ヴォルデモートを名乗るようになってからは絶対的な、いわ
ば父的な存在になることにある程度成功したと思うんです。


Q.彼の父親はマグルで生まれる前に両親は別離していま
すね。


HP.その通りです。彼は生まれる前に母親もろとも父親に
捨てられ、父親はおろか家庭というものも全く知らずに育
ち、ホグワーツ在学中に同じ名前を持つマグルの父を探
しだし殺害しました。父子がただ一度対面した時のことで
す。彼の父殺しはとても深い意味がある。そのことに彼自
身は無自覚だったと思いますが。

Q.自分を捨てた父に対して強い拘りを持っていた?

HP.
本人ではなく、むしろ母になりかわって実の父に復讐
したのではないでしょうか。ヴォルデモートは母親に対し
て本人は無自覚だったのでしょうが同情するところがあっ
た。彼の父殺しには母親への愛着の痕跡を感じますね。
ヴォルデモートにとってもう一人の“父”は、ダンブルドア
だと僕は考えています。

Q.ダンブルドアですって!?ヴォルデモートがアルバス・ダン
ブルドアを慕っていたというのですか?

HP.ええ。むしろとても憧れていたと思いますよ。蔑んだり、
侮ったふりをしつつも常にダンブルドアの振る舞い方をヴォ
ルデモートは意識し、時にはあからさまに模倣していまし
たよ。理想の魔法使いであり、越えるべき目標であり、自
分のことを認めさせたい存在でした。僕はヴォルデモー
ト自身が語るのを聞いたり、ダンブルドアの記憶を見る機会
があってそう感じたのです。これはあまり知られていないこ
とですが、マグルの孤児院にいたトム・リドルのところにホグ
ワーツの入学通知を持ってきて、トムが魔法使いだと教え
たのはダンブルドアだったのです。トム・リドルが生まれて
初めて出会った魔法使いがダンブルドアだった事は、彼の
人生に多大な影響を与えたのではないでしょうか。

ダンブルドアを自分の命令で殺害し、墓を暴いてニワトコの
杖を奪うという行為も、ニワトコの杖が最強の杖ということの
みならず、ダンブルドアを超えるという意味合いもヴォルデ
モートにはあったのではないかと思います。

Q.ダンブルドアに憧れていたなら教師になりそうなものだ
と思いますが。

HP.実際、ヴォルデモートになってからホグワーツのダン
ブルドアを訪問して「闇の魔術に対する防衛術」の教師に
なりたいと志願しています。当然、ダンブルドアは断りまし
たが。ちょっとヴォルデモートの授業を受けてみたい気も
しますよね。死人が続出して授業にならないかもしれませ
んけどね。
 そうそう、僕はデスイーターに「闇の魔術に対する防衛術」
の授業を一年間受けたことがあるんですよ。正確にはポリ
ジュース薬でアラスター・ムーディに化けたバーテミウス・
クラウチJrですが、意外にもなかなか優秀な教師でしたね。
ムーディを擬態していたのでしょうが、今でもよく覚えて
いる言葉を僕にかけてくれたりしてね。闇払いになりたい
と思ったきっかけの一つがデスイーターからの影響だと
いうことは複雑なものがあるんですけどね。


Q.バーミテウス・クラウチJrは魔法省の官僚だったクラウ
チの子息で、ほんの少年だった頃にデスイーターになり、
ロングボトム夫妻を廃人にした罪で魔法法執行部長だった
父親の手でアズカバンに送られた。その後、旧家の子息で
成績優秀だった彼をそのような凶悪犯罪に走らせた家庭環
境が世間で問題とされ、次期魔法大臣候補だった父親は
失脚しました。そして実は父の手引きで母とすり替わりアズ
カバンを出て自宅にずっと軟禁されていた。しかし、ふたた
びヴォルデモートの許に走ると今度は父親を軟禁した挙句
に殺害した。結局、クラウチJrはディメンターに死の接吻を施
され死よりも酷い姿になってしまった…。

HP.僕のゴッドファーザーであるシリウス・ブラックはヴォ
ルデモートに密通し、ピーター・ペティグリューと多数の
マグルを殺害した罪でアズカバンに送られたわけですが、
実は裁判を受けていません。クラウチ氏の一存でアズカバ
ンに送られたのです。

Q.えっ?シリウス・ブラックは裁判を受けていなかったと
いうのですか。その様なことが可能だったのですか。

HP.恐ろしいことですが、これは事実です。

(2012.2.28)

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