インタビュー

HP.スネイプ教授の名前を意図的に出さなかったのではないかというご指
摘ですが、インタビューの最初にスネイプ教授についてかなりお話したの
で、スネイプ教授の特集になってしまうのではないかと一瞬考えたのは事
実です(笑)僕へのインタビューだと聞いているので。
 スネイプ教授がデスイーターから不死鳥の騎士団に転向したのはごく若
い時でそれは僕が生まれた頃のことです。それ以後は特にヴォルデモート
が復活してからですがダンブルドアの命令で闇の陣営と不死鳥の騎士団
の両方に属していました。

Q.それではどちらか勝利した方の味方を都合よく名乗るつもりだったので
はないかとは思われませんか?

HP.いや、それならいっそどちらにも与しないのが最善の道だったのでは
ないでしょうか。スネイプ教授と同じスリザリンのスラグホーン先生のよう
に。保身を最優先に考えるならそうすべきです。もっともスラグホーン先生
は結局ダンブルドアの要請を受けてホグワーツに復帰し、決戦時にはスリ
ザリン生が退去した後も最前線で戦われていたことを僕は忘れてはいませ
んし、この事は世間的にももっと認められるべきだと思っています。
それにヴォルデモートもダンブルドアも一筋縄ではいかない上司です。
人の才能を正確に見抜くので要求も苛烈ですし、裏切りを察知されたら確
実に粛正されるでしょうし。ずるい人にはつとまりませんよ。

Q.ダンブルドアの方がヴォルデモートよりも数段上手だったと思われま
すか?

HP.ええ、それは魔法力やグリフォンドールとスリザリンの優劣ではなくて
単純に大人と子どもという意味で。ヴォルデモートは子どもですよ。それも
大人になれない類の幼稚さです。彼は悪意に溢れたピーター・パンです。
そしてダンブルドアの深慮、悪くいえば老獪さが事態を決定的にしたので
はないかと僕は思っています。

Q.それはどういうことですか?

HP.
ヴォルデモートはたしかに厄介な人物ですが、同時に脆弱な部分が
あった。彼の極端な自己中心主義というものが長期的には仇になっただろ
うと思うのです。彼の夢想した体制は長期的には維持できません。それは
あらゆる歴史が証明しています。皆まるでヴォルデモートの闇の陣営が
魔法使いの世界史上初めての危機のように思っていますが、それは何度
も繰り返されてきたことなのです。
 そして物理的にも彼の肉体は一度原型を留めることができなくなり、彼
の父親の遺体を使って復活している。それはゴーストよりは実体があるの
でしょうが死霊に近い存在でした。それ以前に彼は永遠を求めて魂を細
切れに分割したために既に常人の数分の一程度の価値しかなかった。
だからいずれは滅んだと思います。しかし、ダンブルドアは完璧な形で
完全に彼の息の根を止めようとしました。それも人々にはっきりとわかる
形を望んだのです。

Q.決戦はダンブルドアの意志だったということですか?

HP.ダンブルドアが決戦を想定してヴォルデモートとの対決を考えていた
ことは事実です。それは僕がホグワーツに入学した時、いいえ最初に赤ん
坊だった僕にヴォルデモートが破れた時から練られていた計画かもしれま
せんね。少年と闇の帝王の対決なんて、善悪の対比としては完璧でしょ?

Q.それではあなたの命が危険に晒されることになりませんか。

HP.そうでしょうね。実際に死にかけました。しかしダンブルドアはより多く
の人々が救われるならむしろそうすべきだと考えていたと思います。僕は
今でもダンブルドアをとても尊敬していますし、当時は心酔していました
からその事を苦痛に感じたことはありません。ダンブルドアの愛は、例え
ば我が子を想う親の愛ではなく、よりよく行動することを期待するもので
す。それは僕の力になってくれましたよ。ただ当時のダンブルドアは既に
健康がかなり衰えていて自分の計画が迅速に遂行されることに非常に
拘るようになっていたので、僕や不死鳥の騎士団員が犠牲になることも
やむを得ないと考えていたのでしょう。ダンブルドアは人々をより善なる
方向に導いていきたいと渇望していました。

Q.あなたはダンブルドアの計画に疑問をもっておられたのですか?

HP.いいえ。当時はそうするしかないのだと思っていました。今お話した
ことは後で僕が大人になってから考えてきたことです。しかし、僕はかな
り楽観的なところがあるので、ヴォルデモートと対決した場合、赤ん坊だ
った時と同じ事になるのではないかと予測していました。母の守護の効
力は切れていたのですが、なぜか確信がありました。自分の力でパトロ
ーナスを出せるようになっていたことが自信になっていたのかもしれま
せんね。この僕の予測を概ね支持してくれたのがリーマス・ルーピン先生
とセブルス・スネイプ先生で、二人ともヴォルデモートが弱体化したとこ
ろで自分たちが止めを刺すと話していました。結果的にはその手間は省
けたわけですが。

Q.当時からセブルス・スネイプ教授とは親しかったのですか?

HP.いいえ。リーマスには彼が僕の父と親友だったこともあり、息子の
ように気遣われていたのですが、スネイプ教授とはよくあるスリザリンと
グリフィンドールらしい反目がありました。だからスネイプ教授が僕の
予測に賛成してくれたのは意外だった半面とても心強く感じました。

Q.実はあなたとセブルス・スネイプ氏が特別に親しい間柄だという噂が
あります。

HP.この質問にどういう意味が含まれているのかわかりませんが、親し
いことは事実です。

(2012.1.25)

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