Letters

  ルシウス・マルフォイより
       F・マルシベールへ              1976年3月某日


 この間のスリザリン出身者の集いはなかなか盛況だった。貴様が顔を
出してくれたので、パーティーの雰囲気が華やいだ。やはり見栄えの良さ
というものは大切だな。いくら能力が高くても不細工は駄目だ。もちろん
中身がないのは問題外だ。
 ヴォルデモート卿を信奉する者達の集会といっても、堅苦しいものでは
なく、闇の魔術に対する知識を披露し合ったり、お互いの人脈を紹介し
合うサロンなので、参加者からの評判は上々だ。
このマルフォイが主催する会なのだから、絶対に優雅でなくてはいけな
い。ガツガツ張り切って働くなぞ、マグルかハウスエルフのような真似は
断じてできない。しかし、、昨夜の会の雰囲気の感触からして参加者の
中からデスイーターに入る者も当然でてくるだろうとは思う。
 そういえば、セブルスがレギュラス・ブラックを連れて来ていた。
セブルスはああ見えて考えていることが顔に出るのだが、レギュラスを
連れてきたくなかったような表情をしていた。
レギュラスは幼い時からヴォルデモード卿の純血至上思想に憧れていた
らしく、セブルスに頼んで一緒に来たと話していた。レギュラスは、あの
グリフィンドールにいる兄とは似ても似つかない、正真正銘のブラックだ。
純血でスリザリンという自分の身分を心得ている。あの場にいた何人か
のデスイーターと引き合わせたが、いずれも好印象をもたれている。
ひょっとするとホグワーツに在学する最年少のデスイーターが誕生する
かもしれない。自分の膝元でそんな事になれば、ダンブルドアはいい面の
皮だな。次の集会は、また近いうちに開催しようと思う。貴様も是非とも
また顔を出してくれ。



F・マルシベールより
     ルシウス・マルフォイへ               1976年3月某日


 この間のスリザリン出身の集いは、もっと堅苦しいものだと思っていた
のだが、貴様が取り仕切っていたのだな、愉しい夜だった。
あれは集会というより、貴様の家で開かれる夜会と同じに見えたが、
美味な酒と際どい会話があれば、俺はいつでも満足だ。
デスイーターになろうがなるまいが、根本のところは変わらない。退屈し
のぎができればそれでいい。
 レギュラス・ブラックだが、セブルスに紹介されて俺も少し話した。
礼儀正しく謙虚で、あの年にしては知識と能力の高さも窺えるし、今す
ぐにデスイーターになっても十分やっていけるんじゃないか。
セブルスは、レギュラスの年齢では集会に参加するにはまだ早いと躊躇
したのだろう。
レギュラスに熱心に頼み込まれて渋々折れたらしく、貴様の言うとおり
不本意そうな顔をしていた。まぁ、本人も立場を保留中だしな。スリザリ
ンらしい用心深さだ。
思えば、入学時に既に闇の魔術に精通していてスリザリンでも孤立して
いたセブルスが、下級生を思いやるようになっているのだから、人という
ものはわからないものだな。
俺はあいつと話していると飽きない。意表を突くことを言い出すし、独特
のセンスも気に入っている。次の集会の日が決まったら教えてくれ。
できるだけ都合をつけて参加することにしよう。


(2011.7.11)


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